kb84tkhrのブログ

何を書こうか考え中です あ、あと組織とは関係ないってやつです 個人的なやつ

『「書道」の教科書』

筆の傾きを図示しているのが新しいところ

これまでは、筆づかいの解説というと、筆の穂先(毛の部分)の図解が多かったように思いますが、本書では、より一歩わかりやすい解説をめざして、穂先だけでなく、筆軸の上の部分「尻骨」の動きを表記しました。筆を運筆するにあたり、ポイントとなる場所の「筆の角度」を理解していただくためです。

今までは、筆はまっすぐに立てるものとしか思ってなかったんですが
この図のおかげで直筆・導筆・逆筆・側筆の意味がやっとわかりました
蔵鋒と逆筆が同じものだと思っていたのは盛大な勘違い

最初のうちは感覚がわかりませんでしたが
いろいろ試しているうちにすごくいろんなことがわかってきました

たぶん一番大事なことは穂先の腹側に適当な圧力をかけること
穂先側は目にも見えているし制御しやすいけれど腹側はなかなか
コントロールできません
でも逆筆気味にすると圧力を感じ取りやすくなります
たぶん、「筆のコシを使う」って言うのもこういう感覚なんじゃないのかな

それによって書き始め・書き終わりの形をコントロールすることが
できるようになります
ここがうまくいかないと楷書が楷書っぽくならないんですよね
いままではトメが丸くなってどうもどうも野暮ったいとか
ハネやハライの形はほとんど運任せだったりとかだったんですけれども
ある程度形を作る感覚がわかってきました

ただ、筆を傾ければそれでいいってわけでなくてもうちょっと
微妙な動きが必要な感じ
今は感じを掴むため大げさな感じでやってます
トメとかスタンプを押してるくらいの勢いで

このへんが無意識にできるようになるまで練習しないといけないんでしょうね
ここで筆をこうして、とか考えながら字の形を整えるなんてことはできないので
ここは数が必要なところ

書道習い始めたころ、数回教室に通ったくらいの期間ですごくいろんなことが
わかったことを思い出しました
これまでの上達の3分の2くらいはその期間に含まれてるような気がしてましたが
ここでまたひと皮むけた気分

勉強とか練習とかやってて楽しいのはこういうときですね

あとは、筆に墨をつけたら先の半分ほどの墨を取る、っていうのも
細かいけど自分にとっては新しかったところ
付きすぎてるとシャープな線が出ない(とくにハネとかハライとか)けど
取りすぎると足りなくなるので
先の方は適度に墨を取りながら、根本には墨を溜めておこうってことだと
解釈してます

この本はこういった普通の書道入門に書いてあるようなことばかりではなくて
古代・古典から、現代のアートとしての書道までの流れを説明しているところも
自分のようなうんちく好き人間には楽しいところです

明治以後の、

「絵画」は国によって奨励されましたが、書は古いものとして係止されます。それまでの「書」、つまり古くからの「実用的な毛筆」では存続が危うい、それを打破するために生まれたのが、現在の、「芸術」としての「書道」だったのではないかと考えられるのです。

と言った話は他の入門書では読めないところ

なぜ今は学校でも習字教室でも太筆で書くんだろう、実用なら小筆なはずなのに、と
思っていたんですがこういう流れの結果なのかな、などと考えさせられます

とめはねっ!』に取り上げられてる作品がいくつか(いくつも?)説明されてて
おおそういう作品だったのか、とかいう楽しみも

あ、そうやっていろいろ説明してくれてる本なので説明とかお手本とかは
手薄な感じは否めません
そういうの求めてる人は別の入門書と併用するとよいかと
でも、筆の傾きについて書いてある本はほかには見たことないので
この本は読んでおくことをおすすめします