kb84tkhrのブログ

何を書こうか考え中です あ、あと組織とは関係ないってやつです 個人的なやつ

『ストーリーで楽しむ日本の古典 伊勢物語』

すっかりこのシリーズのファンになった私ですが(ムスメはどうした)
今度は伊勢物語

著者は『黒魔女さんが通る』シリーズの石崎洋司
なにげに豪華執筆陣だなあ
そういえばこのシリーズ、監修はつかないのかな あんまり気にはしませんが
参考文献のリストはついてます

p.4
「ねえねえ、ママ。国文学科卒業のママを見込んで、教えてほしいことがあるんだけど」

国文学科卒業というより国文学オタクって言ったほうがいいんじゃない的なママと
その娘との間の会話の形をとります

こういう古い物語は、時代背景とか物語の成立とかわかってないと
何がなんだかわかりにくいものだと思いますが
中でも伊勢物語はもっともわかりにくいうちのひとつに入るんじゃないでしょうか
そこをこの国文学オタクなママがこれでもかと教えてくれます
これはむしろ受験生やこれから伊勢物語を読んでみようという
大人(自分とか)向けなのではというくらい

p.4
「ええっ?『なんて素敵にジャパネスク』?それ、あたしの愛読書だったのよ。でも、ぴかぴかの新刊……」

そうきましたか

p.6
伊勢物語』?なにそれ?
平安時代にできた物語よ。『なんて素敵にジャパネスク』は、女子の間で大ベストセラーになった楽しい読み物だけど、実は、日本の古典や、平安時代の文化を、うまく取り込んでいるの。それで、少女マンガっぽい見た目の本にもかかわらず、古典の勉強の入口になるっていう先生も、大勢いたんだから」
ママの口調が、やたらに熱っぽくなってきた。

なんて素敵にジャパネスク』はちょうどこの間コバルト文庫と文庫版コミックを
そろえたところです
ガッツリ食いついてます
ヨメも読んでます(やはり愛読してたらしい)

でも「ピカピカの新刊」は見かけなくて、ブックオフけっこう回って揃えました
今はコバルト文庫で復刻しはじめたようなので、今後新刊を見かけるように
なるかもしれませんね
『ざ・ちぇんじ!』や『おちくぼ』も揃えたいと思っていたり

p.10
「とまあ、こんな話なわけ」
なるほど!つまり、『なんて素敵にジャパネスク』のなかで、高彬が、わざわざ「振り分け髪のころからの筒井筒の仲ですよ」っていったのは、自分たちはただの幼なじみというだけじゃなくて、いまは恋人同士で、ちかいうちに結婚する仲なんだって、宣言しているってことなんだ。

そして呑み込みの早い娘が一瞬でママの話を理解してまとめてくれるという完璧な役割分担
知っているのか雷電(あんまり関係ないな

p.28
「ええ。『伊勢物語』では、ほとんどのお話が、主人公はただの『男』よ。実は、『伊勢物語』って、だれが、いつ、どうやって作ったのかは、はっきりとはわかっていないのよ」
(略)
「ところが、いつのころからか、その『男』を『在原業平』という実在の美男子のつもりで読んだらしいの。その方が、ずっとスリリングで、ドキドキしながら読めたからだと思うわ」

東下りとか実際あったんですかね

p.33
でもさ、その歌も、すでにある歌をもとにしているって書かれちゃってるじゃない?いまふうにいえば、パクリですよってことでしょ。ちょっといじわるだね。
「そうでもないわ。この『みちのくの……』という歌は、河原左大臣源融という人が詠んで、百人一首にも入っているから、現代のわたしたちにもよく知られているけど、当時も、古今和歌集に収められていて、とっても有名なものだったの。つまり、歌を詠む方ももらう方も、そのぐらい知らないと恥を書きますよ、風流ではありませんよって、教えているのよ」
ああ、なるほど。そこもまた、恋の教科書だってことなのか。

本歌取りってやつですね
パクリと、パロディとかオマージュとか本歌取りとかの区別をつけることは教養の始まり
(しらんけど
知識ばかりでなく、伊勢物語の読み方、捉え方まで教えてもらってる感じです

p.39
って、ちょっと待って。業平さんって、祖先は天皇なの?
「祖先どころか、二人いるお祖父さんがどちらも天皇よ。父方は平城天皇、母方は桓武天皇ね」
(略)
「そう、とにかく業平はただの貴族じゃなくて、とてつもなく高貴な血の流れる貴族だったの。でも、藤原氏がのしあがってきたせいで、業平の貴族としての位は低かった。だから、藤原氏とは対立関係にあったのよ。実際、藤原良房清和天皇を即位させようとするとき、業平は別の親王を応援していたの」

こういうところから説明していただけるのでたすかります
そんな感じで話は進み

男の老年時代

p.178
むかし、ある男が、いったい何を思ったのでしょうか、こんな歌を詠みました。

 思ふこといはでぞただに止みぬべき
 我とひとしき人しなければ

(心に思うことがあっても、それは口に出さずに止めておくほうが良いのです。自分と同じ考えの人など、この世にはいないのですから)

しみじみする
詠んでいるのが業平っていう設定がまた

話はちょっとしみじみしましたが
親子の会話は終始ライトで楽しい雰囲気で読めました

そしてラスト

p.181
「これで、平安時代に興味がわいて、物語の雰囲気に慣れたら、『源氏物語』も、まちがいなく楽しめると思うわよ」
うん、こんど読んでみるね!

次の読書につながるような締めはこのシリーズのパターンかな
ムスメに響きますように