(妄想)「ならば」の教え方
「数学ガール ゲーデルの不完全性定理」で「僕」がユーリに「ならば」を教える場面があります
「ねえ、馬鹿にしてない?たとえば一番上の行は《Aが偽で、Bが偽だったら、A⇛Bは真》という意味でしょ」
うんうん
そこで「僕」が真理値表を使って教えてあげるんだけれども
どうもユーリはしぶしぶ納得、といった感じ
どうしてユーリに「わかった!」と言わせるまで書いてないんだろう
自分ならこうかなあ(おこがましMAX
ん?ああ「AならばB」ね
ちょっとわかりづらいよね
自分も最初意味わかんなかったよ
真理値表で書くとこうだね
A | B | AならばB |
---|---|---|
偽 | 偽 | 真 |
偽 | 真 | 真 |
真 | 偽 | 偽 |
真 | 真 | 真 |
Aが真ならば、のほうはいいとして、偽ならば、ってほうがわかりづらいんだよね
でもいろいろ例を考えてみたら、どういうことかわかったよ
まずタネ明かししちゃうね
数学のひとは簡潔に書くのが好きだから「AならばB」とか「A⇛B」とか書いちゃうけど
すこし言葉を補ってみるよ
「AならばB」っていうのは「もしAが真ならばB」ってことだよね
Aが偽のときについては何も言ってないね
何も言ってないけど実はこういうことなんだよ
もしAが真ならばB
そうでなければ (Bが何だろうと気にしないで)真
どうだろう?
まだピンとこないかな?
そうだろうね
じゃあ、例を挙げて考えてみよう
「(Bが何だろうと気にしないで)真」の意味がわかると思うよ
じゃあまず、「x>3ならばx+2>3」っていうのを考えてみて
これは真?偽?
もちろん真だよね
この式は「xがいくつのときでも」成り立ってほしいと思うんだけどどうかな?
そうだよね
じゃあxに具体的な数字を入れてみるよ
たとえばx=4ならx+2=6>3で成り立つね
つまり真
これを「AならばB」と見てみよう
つまり、Aがx>3で、Bがx+2>3ってこと
x=4のときで考えると、Aは真、Bも真、「AならばB」も真になる
さっきの真理値表のとおりだね
今度は、x=0のときを考えてみよう
Aは偽、Bも偽だね
さてさっき、この式は「xがいくつのときでも」成り立ってほしい、って話したよね
つまりx=0のときでも「x>3ならばx+2>3」は真であってほしい、ってことだ
ということは
Aが偽、Bも偽のときも「AならばB」が真と決めたほうが都合がいいんだね
そんな都合で決めちゃっていいのかって?
それはどっちかというと反対だね
考えるやすくて便利なようにいろんな記号や考え方を作っちゃうのが数学では大事なんだよ
同じようなことだけど、つぎにx=2のときを考えてみよう
今度はAは偽だけどBは真だね
同じように考えて、Aが偽でBは真っていうときも「AならばB」は真とするのが自然だ
どうだろう?
Aが偽のとき、っていうのがイメージしづらかったと思うんだけど
具体的な例で考えてみたらイメージがつかめたんじゃないかな?
雰囲気で言っちゃうと
Aが偽ならBのことなんか気にしない(気にしないで真にしちゃう)
ってことなんだね
「AならばB」とまったく同じ意味を持つ式で
「AでないかまたはB」っていうのがある
こっちのほうが「Aが偽ならBのことなんか気にしない」っていう雰囲気が出てるかもね
同じ意味かどうかは真理値表書いてみればわかるから試してみて
わかった!と言ってもらえるかなあ